「お前言い出したらぜってー意見曲げねぇもんな」←は?しばくぞ
飯塚
「なあ、次カラオケ行かね?
ここからちょっと行くと歌えるところあんじゃん」
角田
「ああ、そういえばあったね。
でもちょっと通り上から外れるし、今度でも良いと思うな」
飯塚
「そうか? でも折角ココまで来たんだからさ、
ちょっと気晴らしに歌っていこうぜ!」
角田
「いやー、でもね。入るとさ……意外と時間使っちゃうからさ、
コレから回るところにも時間使いたいし、日を改めて考えたほうが良いよ。絶対」
飯塚
「そんな長い間いるわけじゃないって!
一人2、3曲歌って延長なしでパパっと出てくるくらいなもんだよ。
そんな沢山歌いたい曲とかないし」
角田
「いやいや、でもね。一回入っちゃうと、本当出にくくなるから、
また今度ちゃんと予定立てて行った方が絶対楽しめるって! ね?」
飯塚
「……ま、そぅお?
俺はちょっといるだけのつもりだけど、角田がそう言うなら後日でもいいけど……」
角田
「ちょっとでも長いちょっとになるよ……」
飯塚
「まあそう思うならそれでいいよ……。
お前言いだしたら、ぜってー意見曲げねぇもんな」
角田
「……!」
飯塚
「……」
角田
「いやいやいや、ちょっとまって。
え? なに? 俺が意見曲げない? いやいや、それはないわーw」
飯塚
「ん?」
角田
「あのね。言っとくけどね。俺、すっげぇ意見曲げるよ!?
俺、相手の言ってる事に、すげぇ賛成する方だよ!
今回のは確かに曲げませんでしたけどね……?
100回意見が食い違ってたら、99回は意見曲げてますけどね!!?
何を見て絶対って言ってるんだお前は!!」
飯塚
「ななななになになにいきなり!?」
角田
「お前が今目撃したのは、その100分の1の激レアなタイミングだよ!!」
飯塚
「激レアってなんだよ!? 嬉しくないタイミングだなー」
角田
「俺は! 意見の曲がり角なんだよ!!」
飯塚
「なんだそれ!? お肌の曲がり角のいとこか」
角田
「どこを見て行った!? 俺が意見曲げないってどこを見て行った!?」
飯塚
「……いや、今の話し合いだって全然曲げる気ねぇじゃん?
意見曲げないって意見も、最終的には曲げないんだろ?」
角田
「……!?
……こーれー曲ーげーたーらー、おーかーしーいだろおおお!?
意見曲げるっていう意見曲げたら、タイムパラドックスが起きるわ!!」
飯塚
「起きねぇよ!? そんなので未来変わらないよ!?」
角田
「起こります!!」
飯塚
「ほら!?
この一瞬で激レア3も回体験したぞ!
残りの297回の曲がり角はどこだよ?」
角田
「スケールが小さい!
その小さい食い違いなら、過去1000回は曲がりました!!
意見の蛇の目道!!」
飯塚
「ぐにゃぐにゃなのかよ!
いいよ、じゃあ分かったよ。角田は意見曲げるで……」
角田
「ああ……。でもスプーンは、手ぇ使わないと曲げらんないからな!」
飯塚
「知らねぇよ、マジシャンか!」
角田
「……」
飯塚
「でも俺。その激レアのタイミングに合う事、すげぇ多い気がするん多いんだけど」
角田
「……え?」
飯塚
「他の奴とはどうか知らねぇけどさ。なんか毎回俺の時だけ、激レアじゃね?」
角田
「いやいやw……それはないって。
飯塚にだって、相当な回数意見合わせてるよ!?
みんなに対して、平等に激レアは与えてる!」
飯塚
「激レアはいらねぇ! もうお腹いっぱい。
やっぱり、俺と話すときは結構多いよなー? なんでだろな?」
角田
「そりゃお前……俺の言ってる方が正しいんだから、曲げる必要ない事が多いだろ……」
飯塚
「……!?」
角田
「……」
飯塚
「……はぁああ!?
お前自分が言ってるほど!! 正しいこと全然言ってないんですけどおお!!!」
角田
「言ってます言ってます。俺はいつも正しい!」
飯塚
「正しくねぇよ!!
この前だって割り勘の時、計算間違えてても、全然折れなかったじゃん!」
角田
「いやいやいや、あれはね? 調味料が計算に混ざってなかっただけでね。
計算自体は合ってた! 全然合ってた!
しかもそのあと、ちゃんと計算し直して、そっちの意見に合わせたじゃん? ね?」
飯塚
「ただ論破されただけだろ」
角田
「……あ、ああ分かった!(パンッ
論破か、そうか論破か。
そういうふうに捉えちゃってるのね? そういうことね?
俺が、そっちに意見を合わせてやっても、
お前は俺を論破出来たってしか感じ取ってないわけか。
そりゃ激レアの回数と合わないわな……ふーん。
とーんーだー合ーわーせー損ーだーよ!!!」
飯塚
「合わせ損ってなんだよ!?
ねえちょっと、豊本も言ってやってー!」
豊本
「うん。僕もね、角田はちょっと自分の意見を曲げなさすぎだと思うんだよ」
角田
「なんだよ……! だから曲げてるって!
さっき飲み物買った時だって、俺がスポーツドリンク買うときさ?
豊本が『スポーツドリンクより、ミルクティの方が砂糖の入ってる量少なめなんだよ』
って言ってきたから、変えたじゃん?」
豊本
「あ、そう言われれば確かに角田は意見すぐ曲げるか」
飯塚
「早っ!?
……お前が意見曲げるの早すぎ!
何さっきの。つうかそれは、気分の問題だろう?
角田じゃなくても、俺でもすぐ合わせちゃうレベルだぞ?」
豊本
「あ、そう言われれば確かに曲げたことにはならないか」
角田
「早っ!!
おま……俺とのコラボレーション、一瞬すぎるだろ……
ロボットが合体したと思ったら、着地した瞬間に胴体切断マジックだよ……」
飯塚
「さっきからお前の例えマジシャンか!」
角田
「っていうかさ。俺の優しさが何一つ伝わってない!!
この前だって、お前より俺の方が優しいって言うのに!?
声の大きさか!? 発言力の違いか!? 顔の良し悪しか!?
お前の方は「優しいねー」ってちやほやされる! すっごいちやほやされる!!
俺の、方が、絶対、優しい、のに!!」
飯塚
「本当に優しいやつは自分から優しいなんて言わねぇよ……」
角田
「ほら出た!(パンッ ……出たそれ!!
自分から言わないでしょ理論!!
……なーんなんでしょうねー? ねえ!?
別に!? 別に本人が、自分をどう評価しまいが!?
回りの意見を変化させる程の効力は、ありませんから!!
種も仕掛けも、あ・り・ま・せ・ん・から!!!」
飯塚
「あーもう、ラスベガスでマジック披露してこいよー!!」
角田
「そして俺も言う!
『飯塚は優しいよなー』っていう!!
優しいって言ってやってる俺の方が、ずっと優しいのに!!」
飯塚
「なんだよその理論!?」
角田
「あ”ーうう〜〜(´;ω;`)
俺の優しさに、誰も気づいてくれない!!
だれも見向きもしない!!
なんでみんなわかってくれないんだあああああああぁぁああうう!!(つд⊂)」
飯塚
「……いや、そんな事ないって!
俺は知ってるよ。角田の優しいところも、人のいいところも。な?」
角田
「飯塚……お前優しいな」
飯塚
「いやいや、角田の方が優しいだろw」
角田
「それもそうだなw」
飯塚
「曲げんなー!!!」

END
ひかり
「相手に理解してもらおうと頑張ってるだけなのに、
相手から見たら「意見曲げない人」になってることあるよね。
あと、自分は周りに優しくしているはずなのに、
何故か周囲の人の方が優しい人になってたり。
もしかしたら優しさの方向音痴だったりするけど、心構えとしては良いよね」